皇室ゆかりの伊勢神宮「神領民」の職人が一枚一枚丹精込めてつくりあげました。

・伊勢神宮の御用材「木曽檜」
工房は皇室とゆかりの深い伊勢神宮の近くにあり、職人は神宮領地の住民「神領民」の誇りを持って、額縁づくりに励んでいます。伊勢神宮では二十年に一度の大祭「式年遷宮」が行われ、社殿の全てを造り替えて神座を遷し、装束や神宝なども新調します。造り替えの御用材には「木曽檜」が使われます。日本の代表的な高級材である檜の中でも特に美しく、耐久性に優れたものが用いられます。当社の製品にも同じ材を使用したものがあり、長年の掲額にも色褪せることはありません。


・額縁のいのち「塗り」
額縁の命ともいうべき「塗り」。「勲記・勲章」「章記・褒章」を収めるにふさわしい重厚感と気品は、手仕事でしか生みだすことができません。塗りは「木」本来のぬくもりと質感を引き出す「ウレタン樹脂塗装」。塗面は美しい光沢と硬い保護膜で覆われ、変色や劣化しにくい耐久性・耐摩耗性を備えています。職人は下地処理、下塗り、研磨、上塗りとさまざまな工程を重ね、中でも研磨の手仕事にこだわります。丹念に磨き込むことで鏡のような表面をつくり、その上に本塗装を重ねる。手間隙かけた分、滑らかで美しい色艶の額縁に仕上がります。


・確かな品質を誇る部材
額装用化粧台の裂地には、額縁の材に合わせた伝統的な文様の緞子(どんす)を使用します。特に絹糸を一本一本紡いだ「正絹」の緞子は気品と格調にあふれ、高級和額ならではの趣が、受章の栄誉をいっそう引き立てます。
勲章・褒章の額装には、特殊素材を吹き付けた植毛スポンジを敷き、勲章・褒章の重みを均等に吸収してズレやキズを防ぎます。この素材は、高級車の内装にも使われています。さらに、国家栄典の象徴ともいえる「菊の御紋」はダイキャスト製品です。高い寸法精度を誇る金型鋳造により、直径約70mmの肉厚で重厚感にあふれた菊紋が、受章の意義の深さを醸し出します。

・妥協のない手仕事
本物とはなにか。手仕事だからこそ、見えない部分にも妥協しません。例えば額縁の内側は、裏板をはめれば隠れてしまいますが、塗りへのこだわりも同じ。幾つもの工程を重ね、丹念に研磨して塗りを施す手仕事の技が生きています。
また、裏板には反りや節目のない特選ベニアを使用。補強用のサンは四辺の端までしっかりと組み上げ、高級木材の檜を惜しげもなく使用しています。


・堅牢な額縁づくりの技法
国家の栄典による輝かしい栄誉をいつまでも―。そのために額縁には堅牢さが求められます。 当社の額縁は、原木の天然乾燥から始まります。1~3年をかけてゆっくり乾燥させると、傷みが少なく粘りのある強い材になり、色や艶も美しくなります。 十分に乾燥させた材を小割にして寸法に合わせて切り揃えます。中でも気を使うのは四辺接合。額縁の四隅を隙間なく密着させる工程です。自社で開発した専用機を使い精密に加工します。接合には釘を使わず、伝統的な「挽き込み留め継ぎ」技法を用います。接合部に挽いた溝に千切り(ちぎり)と呼ばれる薄板を埋めて頑丈にし、その枚数を増やすことで強度を高めていきます。 伝統技法を生かした額縁は堅牢なだけでなく、工芸品のような気品と美しさも備えています。

・受章の意義に相応しい額縁
天皇陛下から授与される「勲記・勲章」「章記・褒章」は、皆様が生涯をかけて歩まれたご功績、ご功労を称えた証そのものです。その大切な賜物をお守りするべく、当社は三十余年に渡り、ご受章された皆様のお役に立ってまいりました。国家栄典による輝かしい栄誉と、ご受章の意義にふさわしい本物の額縁。その一枚を求めてつくりあげた当社の額縁で、どうぞ末永くご顕彰ください。