勲記・章記は受章者に対して勲章・褒章とともに与えられる証書のことで、勲章・褒章を受章したことの証明です。
勲章そのものは明治21年の制定以来、変わることなく今日に至っていますが、勲記の書式は新憲法の施行につられて様々な変遷を重ねています。
最初の勲記はお墨付程度の簡略なものでしたが明治9年にその書式は整然としたものに改められました。「天佑ヲ保有シ万世一系ノ帝祚ヲ践タル日本国天皇ハ(肩書、氏名、勲章名)ヲ授与ス即チ比位ニ属スル礼遇及ヒ特権ヲ有セシム」という文章にて、勲六等以上は陛下のご署名入りでありましたが、後の明治18年10月には、陛下のご署名は勲三等以上に改正、勲四等以下は国璽のみをおされることになりました。
この国璽は勲記にかぎり使用されている我国の印章で、明治4年に制定されたものでは、形は純金の立方体、重さが3.5キロもあって、一辺の長さが91ミリあり、印文は「大日本国璽」となっています。この「大」という文字について明確な意味はなく、ただ歴史的に利用された美称であるというのが政府の見解であります。
国璽のほかには「・・・において璽をおさせる」と記されておりますが、国璽はそれ自体重量があるので、勲記の上にのせるだけで、はっきりと印文がでる仕組みになっています。いわゆる普通の印鑑のように「押印」されるわけではありません。国璽は現在、宮内庁侍従職で保管されております。